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薬疹・皮膚科

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薬疹

■薬疹とは:定義と概念

薬疹は薬剤により生じた発疹を指します。狭義にはアレルギー性の機序のものをさしますが、 薬剤の毒性反応・蓄積、ないし薬理作用による機序などによる非アレルギー性のものもあります。
薬剤の再投与で同一の症状が再現されますが、一部ではウイルス感染の極期、再活性化の時期にのみ薬疹が誘発されることもあります。

■薬疹の症状:病型

1.軽症ないし中等症の薬疹:頻度の多い病型

  • ①播種状紅斑丘疹型:薬疹の半数程度はこの型です。体幹・四肢近囲部の対称的な紅斑で、開始後数日程度で生じることが多いです。 抗菌薬・鎮痛剤・CT造影剤などによることが多いです。
  • ②多形紅斑型:次いで多く、四肢遠位部中心のややぽったりした紅斑で、 時に口腔内などの粘膜疹が合併します。背景に感冒などのウイルス感染などがあることも多いです。 抗菌薬・鎮痛剤などが主な原因薬剤です。
  • ③固定薬疹:内服して数時間で毎回同じ部位に出現し、色素沈着を残します。鎮痛剤・去痰剤・抗菌薬などによることが多く、 口唇・陰部ヘルペスと間違われることもあります。
  • ④じんましん型:内服して数分から30分程度でじんましん、時に冷や汗や血圧低下などアナフィラキシー症状を起こします。 やはり抗菌薬・鎮痛剤などが主な原因薬剤です。

  • 2.重症薬疹:代表的3病型。いずれも全身の紅斑・高熱を伴います

    • ①Stevens-Johnson症候群(SJS):眼球・口唇の粘膜疹をみます。TENとしばしば合併します(SJS/TEN)。 抗てんかん薬・抗菌薬・解熱鎮痛剤などが原因として多いです。
    • ②中毒性表皮壊死症(Toxic epidermal necrolysis: TEN):表皮が熱傷のように水疱・びらんになる最重症の薬疹です。
    • ③薬剤過敏症症候群(drug induced hypersensitivity syndrome: DIHS): 異型リンパ球などの血球増加、肝機能障害などを伴います。高尿酸血症薬・抗てんかん薬など限られた薬剤が関与し、 HHV-6(突発性発疹の原因ウイルス)の再活性化があります。

■薬疹の症状:病型

基本的には問診が一番大切で、確実な検査はありません。薬疹の検査には次のものがあります。

  • ①DLST(drug induced lymphocyte stimulation test:薬剤誘発性リンパ球刺激試験):
    薬剤と血液との反応をみる検査で、第一選択です。しかし結果がでるまで2週間程度かかり、 陽性率は40~50%で、偽陽性(拾いすぎ)もあります。
  • ②パッチテスト:薬剤を30%程度の濃度に希釈して皮膚に貼付します。頻回の受診が必要ですが、やはり陽性率は低いです。
  • ③皮内テスト・プリックテスト:じんましん型など即時型の薬疹で検討されます。
  • ④内服テスト:本来一番確実ですが、危険も伴いますので、原則入院が必要です。 うがい法、口含み法、口なめ法などを行い、陰性であれば1/100、1/10、1/1などと、 半日ないし1日程度の間隔で濃度を順にあげます。重症薬疹では禁忌です。

■薬疹かなと思ったら

まずは処方をうけた主治医の先生に相談しましょう。これは同じ薬剤の再投与を受けないためにも大切です。 尚、ある種の抗がん剤は高率に皮疹を出しますが、中止すべきでないことも多いので、主治医の先生とよく相談してください。
皮膚科には、主治医の先生と相談の上、お薬手帳、可能であれば疑わしい薬剤を持参して受診してください。 これは薬疹を起こしやすい薬剤であるかどうかを考える上でも大切です。またDLSTなどの検査に使うこともあります。
尚、市販の薬剤、ないし健康食品でも薬疹、時に重症薬疹を起こしえますので注意が必要です。

■薬疹の治療・再発予防

第一の治療は疑わしい薬剤の中止です。基本的には治療目的での内服・外用剤は必要ありません。 痒みなどがあれば、適宜抗ヒスタミン剤・ステロイド外用剤などが用いられます。 軽症・中等症であれば、薬剤の排除とともに10~14日程度で収束することが多いです。
重症薬疹は入院、SJS/TENは基幹病院での集中的加療が必要になります。
再発予防に、お薬手帳に薬疹の可能性があったことを記載してください。 当院では、必要に応じ薬剤過敏カードを発行します。お薬手帳は各医療機関を受診する際に必ずご持参ください。
一つの薬剤で薬疹が出ても、同様薬剤が全て使えないわけではありません。 構造の違う薬剤は使えることも多いので、主治医の先生とよく相談してください。

(LCV、なるほど健康講座;薬疹、2016年をもとに作成)

皮膚科の疾患:原因と治療・対応方法

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