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紫外線による皮膚障害・皮膚科

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紫外線による皮膚障害

■紫外線による皮膚障害について

フロンガスの使用によりオゾン層が破壊され、地上に届く紫外線の増加が問題になっています。 1998年、母子手帳から日光浴を勧める記述がなくなりました。有害作用の方が格段に多いからです。 紫外線に対する反応は、メラニン色素の量・性状の反映である皮膚の色調によって個人差があります。 70%程の日本人は紫外線にあたると赤くなり、その後黒くなります。17%程の色白の人は紫外線にあたった後も赤くなるだけで黒くならず、 13%程の色黒の人は赤くなりません。色白の人は特に紫外線による皮膚障害を受けやすいので注意が必要です。
紫外線による皮膚障害は4つに分けられます。①急性障害(日焼け)、② 免疫抑制、③慢性障害(光老化:シミ・しわ、良性腫瘍、光発癌)、④光線過敏症です。

  • ①急性障害:日本語の「日焼け」という言葉は紫外線により赤くなるsun burnと、その後黒くなるsun tanを含めて使われています。 sun burnは紫外線による熱傷:日光皮膚炎、sun tanはその結果おこるメラニンの増加よる色素沈着です。 sun burnは熱傷ですので、紅斑・水疱ができ、強い疼痛があります。その後傷んだ皮膚が落屑となり、sun tanが残ります。

    御柱祭の鉢巻き部分を残した日焼け

  • ②免疫抑制:紫外線は皮膚の細胞を障害し、局所の免疫を低下させます。旧盆・年末年始・御柱祭のあと、皮膚科外来は帯状疱疹・単純疱疹の患者さんでにぎわいます。これは紫外線暴露・客人を迎えた疲れなども相まって、内在している水痘帯状疱疹ウイルス、ないし単純疱疹ウイルスに対する免疫力が低下したことによる再活性化です。紫外線による免疫力の低下は、反復されることにより、次の慢性皮膚障害の発生増加にもつながってきます。
  • ③慢性障害(光老化:シミ・しわ、良性腫瘍、光発癌):光老化とは長年の紫外線暴露により真皮の弾性線維が破壊され、皮膚が厚くゴワゴワになり、色も濃くなることです。通常の老化とは異なり、被覆部はきれいなままで、顔・後頚部・手背など露光部のシミ、しわとなって現れます。また紫外線は細胞のDNAに傷をつけ、その修復の間違いの蓄積が発癌につながります。高齢者の露光部の赤いざらざらとした局面は、日光角化症と呼ばれる表皮内癌です。その一部が進行して有棘細胞癌になります。他にも顔に主にみられる基底細胞癌、悪性黒色腫の悪性黒子型は紫外線が発症に関与しています。

  • ④光線過敏症:色白の青年・中年女性の腕などに、初夏の強い日差しにさらされた際にみられる湿疹は、多形日光疹とよばれます。一番多い光線過敏症で、皮膚が紫外線に対応できないためにおこります。また薬剤(ある種の抗菌薬・降圧剤・湿布薬など)との相乗作用で起こる光線過敏症もあります。稀ですが小児期より皮膚癌が多発する先天性光線過敏症もあります。

■紫外線対策:オーストラリアに学ぶ

紫外線の強さは緯度、高度、また天候により異なります。同じ場所でも快晴の時に比べ、 曇りでは約60%、雨では約30%の紫外線量になります。春から秋にかけては、曇りでも日中は紫外線対策が欠かせません。 オーストラリアは年間を通して晴天の日が多く、紫外線が強いため、ことに白人で皮膚癌の増加が問題になりました。 このため1980年代にSun Smart Programが導入されました。特に力を入れているのが子どもへの紫外線予防指導で、 ” Slip, Slop, Slap, Wrap”というスローガンを合言葉に、徹底した対策がとられています。 「長そでのシャツを着よう! 日焼け止めを塗ろう! 帽子をかぶろう! サングラスをかけよう! 」で、まさにポイントをついた指導です。 (目にも紫外線はよくありません。)
地上に届く紫外線は、表皮でsun burnを起こすUVB(中波長紫外線)と、真皮まで届きしわやsun tanを起こすUVA(長波長紫外線)とが あります。日焼け止めの強さは、UVBに対する指標として、SPF (Sun Protection Factor)が用いられます。 塗布しない時に比べ何倍sun burnしにくくなるかという指数で、現在の日本ではSPFの上限は50+ となっています。 もう一つ、UVAに対する指標のPA (Protection grade of UVA)も併用され、+++ などと表示されます。日焼け止めの十分な効果を得るためには、 屋外にでる20分ほど前に厚めに塗り、汗をかいたら再び、また2時間をめどに塗り直すことが必要です。
乳幼児期から老年期まで、生涯紫外線対策は必要です。ことに保育園・学校で紫外線対策の教育・実践が望まれます。 プール全体に屋根・テントで覆いをする自治体が少しずつでていますが、明日を担う子どもたちのため、ぜひ進めてほしいです。

(岡谷市民病院:ほすぴたる情報誌O+EN(オーエン)第19号、 2016年掲載分を加筆・訂正)

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